パンゲア大陸とは、ペルム紀から三畳紀にかけて存在していた巨大な大陸です。「パンゲア」という名前は、古代ギリシャ語の「pan(全て)」と「Gaia(大地)」から由来しています。中国語では「盤古大陸(ばんこたいりく)」と呼ばれています。
大陸移動説 1912年、アルフレート・ヴェーゲナーは、大陸がかつて一つであったとする仮説を提案し、それを「パンゲア大陸」と名付けました。
この説では、大陸が移動する力が明確に説明されておらず、初めは信じられませんでしたが、ヴェーゲナーの死後、1950年代以降に新たな証拠が発見され、プレートテクトニクス理論として再評価されるようになりました。
概要 パンゲア大陸は、古生代ペルム紀の終わり、約2億5000万年前に誕生しました。
ローレンシア大陸、バルティカ大陸、ゴンドワナ大陸、シベリア大陸などが衝突して一つの超大陸を形成し、その後、中生代三畳紀にかけて再び分裂を始めました。
パンゲアが完成した時期には、地球内部から上昇するスーパープルームが原因で世界中で火山活動が活発化し、この時期に多くの古生代の海洋生物が絶滅しました。
大陸の形態 パンゲア大陸は赤道を中心に三日月型に広がっており、内部には広大な内海「テチス海」が広がっていました。この海域では多くの海洋生物が繁殖しましたが、内陸部は乾燥した砂漠が広がり、動植物の移動を促進した結果、当時の生物多様性は現在よりも低く、均質でした。
約1億8000万年前のジュラ紀になると、パンゲアは南北に分裂し、北はローラシア大陸、南はゴンドワナ大陸となり、さらにこれらの大陸も分裂を繰り返しました。
また、パンゲアの形状については、三日月型ではなく、ユーラシア大陸の凹部とオーストラリア大陸の凸部が繋がって丸い形をしていたとする説もあります。
ローラシア大陸について紹介
ローラシア大陸(Laurasia)は、古代に存在したとされる超大陸で、プレートテクトニクス理論に基づいています。
この概念は、1937年に南アフリカの地質学者アレクサンダー・デュ・トワによって提唱されました。名前は、ローレンシア大陸とユーラシア大陸を組み合わせたものです。
超大陸パンゲアが分裂すると、テチス海を挟んでローラシア大陸とゴンドワナ大陸が形成されました。
ローラシア大陸はさらに分裂を繰り返し、最終的にユーラシア大陸と北アメリカ大陸が誕生しました。ローラシア大陸は、パンゲアを構成していたローレンシア大陸、バルティカ大陸、シベリア大陸、カザフスタニア、そしてシナ地塊が結びついて形成されていました。
バルティカ大陸について紹介
バルティカ大陸(Baltica)は、原生代後期から古生代初期に存在していたと考えられる大陸プレートで、現在はユーラシア大陸の北西部に位置する東ヨーロッパクラトンの一部を構成しています。
バルティカ大陸は、約18億年前に形成されたとされ、東ヨーロッパクラトンの一部であるセグメントや大陸は、当時地球上の異なる場所に存在していました。バルティカ大陸は、単独の大陸として、または初期の超大陸の一部として存在していた時期もあります。
バルティカ大陸歴史
約18億年前、バルティカは超大陸コロンビアの一部として存在していました。その後、約15億年前には、アークティカ大陸(現在のカナダ楯状地とシベリア卓状地)や東南極クラトンと共に、ヌーナというやや小さな超大陸を形成していました。
さらに約11億年前には、ロディニアという超大陸の一部となり、その後約7億5千年前には、プロトローラシアという超大陸の一部として存在していました。
6億年前、バルティカはパノティアという超大陸の一部となり、カンブリア紀には独立した大陸として存在しました。
デボン紀になると、バルティカはローレンシア大陸と衝突し、ユーラメリカという小さな超大陸を形成しました。さらに、ペルム紀にはすべての主要な大陸が衝突してパンゲア大陸が形成され、その一部としてバルティカも存在しました。
ジュラ紀になると、パンゲアはローラシア大陸とゴンドワナ大陸に分裂し、バルティカはローラシアの一部となります。
白亜紀には、バルティカはユーラシア大陸の一部として組み込まれました。現在では、バルティカはアフロ・ユーラシア大陸の一部を構成しており、未来には約2億5000万年後に全ての大陸が再び衝突し、パンゲア・ウルティマまたはアメイジアという新たな超大陸が形成されると予想されていますが、バルティカがその一部としてどのように関与するのかは明確ではありません。
また、約4億年後には、パンゲア・ウルティマ(アメイジア)が分裂するとされていますが、その後の具体的な分裂過程や、バルティカがどの大陸の一部となるかは、まだ解明されていない段階です。
ゴンドワナ大陸について紹介
ゴンドワナ大陸(Gondwana)は、かつて存在したとされる超大陸で、現在のアフリカ大陸、南アメリカ大陸、インド亜大陸、南極大陸、オーストラリア大陸、さらにはアラビア半島やマダガスカル島を含む広大な領域を占めていました。
名前は、インドの中央北部の「ゴンド人の森」という意味のサンスクリット語から由来しています。
ゴンドワナ大陸は約2億年前から分裂を始め、6500万年前の白亜紀末には、アフリカ、南アメリカ、南極、インド、オーストラリアといった各プレートが別々の方向に移動したと考えられています。
ゴンドワナ大陸の誕生と成長
ゴンドワナ大陸は約6億年前、パノティア大陸の分裂により誕生しました。
当初は北半球の低緯度地域から南極まで広がり、石炭紀(約3億5000万年前〜3億年前)には地球の寒冷化に伴い、南極周辺に大規模な氷河が発展しました。ただし、その後は温暖な時期が続き、氷河は存在しなかったと考えられています。
ゴンドワナ大陸の一部としてのパンゲア
石炭紀の後期、ゴンドワナ大陸は北上し、赤道付近にあったユーラメリカ大陸と衝突して、パンゲア大陸の一部となりました。
数千万年後、ペルム紀にはパンゲアがシベリア大陸とも衝突し、地球上のほぼすべての陸地が1つの超大陸として統一されました。
ゴンドワナ大陸の分裂と新たな大陸の形成
約1億8000万年前、ジュラ紀中期にパンゲアは再びローラシア大陸とゴンドワナ大陸に分裂しました。
ゴンドワナは、現在のアフリカ大陸や南アメリカ大陸を含む西ゴンドワナと、南極大陸、インド亜大陸、オーストラリア大陸を含む東ゴンドワナに分かれました。
その後、白亜紀に入ると、西ゴンドワナはアフリカ大陸と南アメリカ大陸に分裂し、その間に大西洋が形成されました。
また、東ゴンドワナはインド亜大陸とマダガスカル島、南極大陸とオーストラリア大陸に分裂しました。白亜紀後期には、インド亜大陸とマダガスカル島が分かれ、インド亜大陸は急速に北上してユーラシア大陸に向かいました。
新生代と現在の大陸配置
恐竜が絶滅した後、新生代に入ると、南極大陸からオーストラリア大陸が分裂し、北上を始めました。
インド亜大陸はさらに北上を続け、約4500万年前にユーラシア大陸に衝突し、ヒマラヤ山脈が形成されました。ヒマラヤ山脈の山頂付近では、海洋生物の化石が発見されており、これが衝突の証拠となっています。また、大西洋は広がり続け、現在の大陸配置が完成しました。
生物分布との関係
ゴンドワナ大陸に生育していたグロッソプテリスという植物の化石は、南アメリカ、アフリカ、インド、南極、オーストラリアの各地で発見され、これらの地域は「ゴンドワナ要素」と呼ばれています。
例えば、肺魚はアフリカ、オーストラリア、南アメリカにそれぞれ異なる属が分布しており、ゴンドワナ要素の代表的な生物です。また、バオバブのような植物は、アフリカ、マダガスカル、オーストラリアに分布しています。
一方で、ゴンドワナ大陸では見られなかった生物群もあります。例えば、多丘歯類という哺乳類は、2億年前のジュラ紀中期に出現しましたが、南半球での化石は見つかっていません。
シベリア大陸について紹介
シベリア大陸とは、現在のユーラシア大陸の一部を指し、特にロシアのシベリア地方を基にした古代の大陸の概念です。
この地域は、原生代の初期から存在していた非常に古い大陸プレートであるクラトン(安定した大陸の基盤)と考えられています。
シベリア大陸は、時には「アンガラ大陸」と呼ばれることもあり、その場合はゴンドワナ大陸の植物群との対比で使われます。この名称には、シベリアのほか、モンゴル、中国北部、朝鮮半島も含まれることがあります。
地質的な歴史
シベリアは、約25億年前にカナダ楯状地やグリーンランドと共に北極大陸を形成していたと考えられています。
11億年前にはロディニア大陸の一部となり、その後、いくつかの分裂を経て、シベリアは独立した大陸として存在していました。特に古生代のカンブリア紀にはシベリアは独立した大陸で、オルドビス紀からデボン紀にかけて植物が進化し、森林を形成しました。
石炭紀には、シベリア大陸はカザフスタニアと衝突し、アルタイ山脈が形成されました。
地質時代の特徴的な出来事
ペルム紀にはシベリア大陸がバルティカ大陸と衝突し、超大陸パンゲアが誕生しました。
この衝突によってウラル山脈が形成され、シベリアは現在のアジア、シベリア地域と認識されるようになりました。また、この時期、シベリアでは大規模な火山活動が起こり、大量の玄武岩が堆積し、貴金属や鉱物資源を豊富に形成しました。
ジュラ紀に入ると、パンゲアが分裂し、シベリアは新たに形成される陸地の一部として、北東へと移動を開始します。この期間、シベリアには温暖な気候が広がり、多くの生物が繁栄しました。
現代のシベリア
現在、シベリアのほとんどは極寒の地域であり、タイガやツンドラが広がり、人々が生活するには非常に厳しい環境となっています。
しかし近年では資源開発が進み、金や石油、石炭などの鉱床が新たに発見されています。温暖化により永久凍土が解け、地盤の沈下や施設の破損が問題となっています。
未来において、シベリアはさらに温暖化が進むと予測され、数億年後には現在とは異なる環境になると考えられています。
まとめ
パンゲア大陸(Pangaea)は、約3億年前から約1億7500万年前に存在した、地球の歴史の中で最も大きな超大陸です。
この大陸は、現在の大陸が分裂する前の時代に形成され、地球上のほとんどの陸地が1つの巨大な塊として集まっていました。
名前はギリシャ語の「全ての土地」を意味する「パン」(pan)と「大地」を意味する「ゲア」(gea)から来ています。
パンゲア大陸の形成
パンゲア大陸は、ペルム紀(約2.5億年前)に最初に形成されました。
この時期、地球のプレート運動により、既存の大陸(ゴンドワナ大陸、ローレンシア大陸、バルティカ大陸など)が衝突し、1つの巨大な大陸が誕生したと考えられています。
パンゲアは、北はローレンシア大陸(現在の北アメリカ)やバルティカ大陸(現在のヨーロッパ)を含み、南はゴンドワナ大陸(現在の南アメリカ、アフリカ、南極、オーストラリアなど)を含んでいました。
パンゲア大陸の特徴
パンゲア大陸は、赤道を中心に広がる温暖な気候が特徴で、多くの陸上生物が進化しました。この時代には、恐竜の出現や植物群の発展があり、また、気候や生物多様性の変化が地球環境に大きな影響を与えました。
パンゲア大陸の分裂
パンゲアは、約1億7500万年前(ジュラ紀)に分裂を始めました。
地殻のプレート運動により、パンゲアは次第に分裂し、最初にローラシア大陸(北半球の大陸群)とゴンドワナ大陸(南半球の大陸群)に分かれ、その後、これらがさらに分割され、現在の大陸配置が形成されました。
分裂の主な過程としては以下の通りです。
ジュラ紀初期:パンゲアは、最初にローラシア大陸とゴンドワナ大陸に分裂しました。
白亜紀:ゴンドワナ大陸は、さらに南アメリカ大陸、アフリカ大陸、南極大陸、オーストラリア大陸などに分かれました。
新生代:ローラシア大陸は、現在の北アメリカ、ヨーロッパ、アジアなどの大陸に分かれ、パンゲアの分裂が完全に終わりました。
パンゲアの影響
パンゲアの存在とその後の分裂は、地球の地質学的な構造、気候、生物の進化に大きな影響を与えました。
特に、大陸が移動することによって生物が進化し、また異なる大陸に隔てられることによって、生物の多様性が生まれました。
パンゲアは、現在の地球の地質や生物相の理解に重要な手がかりを提供しており、プレートテクトニクス理論の確立においても非常に重要な役割を果たしました。