恐竜（きょうりゅう）は、爬虫類の一種で、恐竜類という分類に属します。恐竜の大きさは非常に幅広く、全長30メートル以上に達する巨大なものから、数十センチメートル程度の小型のものまでさまざまです。
恐竜がいつ、どのように進化を始めたのかは完全には解明されていませんが、約2億4,330万年から2億3,230万年前の三畳紀中期にその起源を持つとされています。
恐竜は、その後も進化を続け、ジュラ紀や白亜紀を通して陸上で最も繁栄した脊椎動物となりました。
しかし、白亜紀末の大量絶滅により、鳥類を除く恐竜は絶滅してしまいました。ちなみに、鳥類以外の恐竜が白亜紀後期の大絶滅を生き延びたという報告もありますが、これには異論もあります。
恐竜の化石は、19世紀初頭に初めて発見され、1841年にはリチャード・オーウェンによって「恐竜」という名前が付けられました。
これ以降、恐竜の化石は世界中の博物館で展示されるようになり、恐竜は映画やテレビなどのメディアで広く取り上げられるようになりました。
その大きな体格や特異な外見のため、恐竜はしばしば映画やSF作品に登場し、怪物やモンスターのインスピレーションにもなっています。
恐竜の分類は非常に細かく、鳥類を含む現存する生物もその一部に含まれています。
現在、鳥類は1万種以上が確認されており、恐竜の中でも最も多様性を持つグループのひとつです。恐竜には植物を食べるものや肉を食べるものがあり、種によって食性も異なります。
恐竜は全大陸に分布していたことが化石から分かっており、以前は鈍重な変温動物だと考えられていましたが、1970年代の恐竜ルネッサンスによって、特定の恐竜は活発で代謝が高い動物であったことが明らかになりました。
また、恐竜は卵を産み、巣を作る習性を持つことが分かっています。現代の鳥類は、後期ジュラ紀に獣脚類の一部から進化した羽毛恐竜に起源を持ち、白亜紀末の絶滅を生き延びた唯一の恐竜系統です。
恐竜は、角やとさかなどの特徴的な外見を持つものが多く、また飛行する能力を持つ種もありました。
最も大きな恐竜の一つ、アルゼンチノサウルスは、約40メートルの長さと18メートルの高さに達しており、史上最大の陸上動物だったと推定されています。
化石に基づき、古生物学者は1,000種以上の非鳥類型恐竜を特定しています。多くの人は恐竜はすべて巨大だと思いがちですが、実際には非常に小さいものも多く、最小で約50センチメートル程度のものも存在していました。
恐竜の名称について
「恐竜」という言葉は、ギリシャ語の「δεινός（deinos）」と「σαῦρος（sauros）」を組み合わせたもので、前者は「恐ろしい」、後者は「とかげ」を意味します。
この名前は1842年、リチャード・オーウェンが発見された3種類の化石爬虫類（イグアノドン、メガロサウルス、ヒラエオサウルス）に対して新たに名付けたものです。
オーウェンは、「δεινός」を「fearfully great」、すなわち「非常に大きく恐ろしい」という意味で使ったと言われています。
恐竜の学名に使われる「-saur-」は、通常「竜」を指す接尾語です。恐竜の名前には「○○サウルス」といった形が多く見られますが、実際には現存するトカゲ型の動物や爬虫類にも「-saurus」がついた学名が存在します。
例えば、エリマキトカゲの学名は「Chlamydosaurus kingii」で、カタカナ表記では「クラミドサウルス・キンギイ」となります。
「恐竜」という言葉は、日常的には「古代の爬虫類」という広い意味で使われることが多く、同じ時代に生息していた他の爬虫類や古生代の非哺乳類型単弓類などを含めて使用されることもあります。
しかし、実際には翼竜や魚竜、首長竜、モササウルスといった恐竜と異なる分類群は、恐竜には含まれません。これらの生物が恐竜展や子供向けの図鑑に一緒に紹介されることが多いため、初心者は混同しやすいです。
恐竜の古典的な定義は、「直立歩行に適した骨格を持つ爬虫類」とされ、ほとんどの恐竜は地上で生活していました。
翼竜は恐竜やワニ、鳥類と同じ主竜類に属しており、恐竜とは「姉妹群」の関係にあります。
学術的には、恐竜は爬虫綱双弓亜綱主竜形下綱に分類され、上目に位置します。ただし、系統樹に基づく視点では「恐竜」という言葉には鳥類も含まれ、これを指す際には「非鳥類型恐竜(non-avian dinosaur)」という表現が使用されます。
一般的には「恐竜」というと鳥類を除いたものを指すことが多いため、本項では特に記述がない限り「非鳥類型恐竜」として解釈します。
恐竜は中生代の三畳紀に登場し、地球上で繁栄しました。形態や生活様式に多様性があり、一部は非常に巨大な陸上動物に進化しましたが、約6,600万年前の白亜紀末の大量絶滅で多くが姿を消しました。
ただし、アラモサウルスなど一部の恐竜はその後もしばらく生き延びていた可能性があるという研究もあります。鳥類は恐竜から進化したという説は以前からあり、現在では獣脚類の一部が鳥類として生き続けているという説が広く受け入れられています。
恐竜の特徴的な進化的特性
恐竜は単系統群とされており、その進化の過程で現れた特徴的な進化的特性（派生形質）は非常に多く見られます。以下にその主なものを紹介します。
後頭部の骨である後前頭骨を二次的に失う。
上腕骨において、三角筋の付着部である三角筋稜が発達する。
骨盤は腸骨、恥骨、坐骨で構成され、そこに大腿骨がはまり込む場所である寛骨臼が貫通する。
仙椎を構成する骨が3個以上である（多くの他の爬虫類、例えばワニやトカゲでは通常3個以下）。
脛骨の前面に距骨突起が形成される。
これらの特徴のいくつかは、特に二足歩行に適応する過程で現れたと考えられています。
このことから、恐竜は一般的に想像されるようなトカゲ型の「爬虫類」とは異なる動きの仕方をしていたことが分かります。
以前は、二足歩行は前肢を武器として進化した結果だと考えられていましたが、この仮説には疑問が呈されていることもあります。
恐竜の登場と初期進化
恐竜は、双弓類というグループから進化したとされ、その直系の祖先は初期の主竜類の一部、特に鳥頸類に分類されます。
このグループには恐竜だけでなく翼竜なども含まれています。恐竜の祖先は、二足歩行への適応が進んでおり、最初期の恐竜はすでに二足歩行をしていたと考えられています。
恐竜は三畳紀初期には生態系での存在感が小さく、全体の10%程度の勢力を占めるに過ぎませんでしたが、三畳紀後期には徐々に他の爬虫類群から主役の座を奪い、その後の繁栄を築いていきました。
非鳥類型恐竜の絶滅
非鳥類型恐竜は白亜紀末に絶滅しました。この絶滅の原因についてはさまざまな仮説が存在し、特にその原因として注目されるのはK-Pg境界（以前はK-T境界と呼ばれていた）での大規模な絶滅です。
この絶滅イベントは恐竜にとどまらず、多くの動植物に影響を与えました。実際、長い間この大規模な絶滅の原因に関する研究は行われていなかったものの、現在ではいくつかの有力な仮説が提案されています。
主な仮説には以下のものがあります。
急激に発生した環境変化を原因とする説（隕石衝突説や彗星衝突説など）。
長期間にわたる環境の変動を原因とする説（温度低下説や海面低下説、火山活動説など）。
現在では、巨大隕石の衝突が最も有力な原因とされています。1980年、地質学者ウォルター・アルバレスと物理学者ルイス・アルバレスは、K-T境界層に高濃度のイリジウムが含まれていることを発見し、これは隕石衝突によるものだと結論づけました。
その後、1991年にメキシコのユカタン半島で巨大なクレーター（チチュルブ・クレーター）が再発見され、この隕石衝突が恐竜の絶滅を引き起こしたとする説が広まりました。
この説によると、隕石衝突によって発生した大規模な火災や、衝突後に浮遊した塵が大気中に拡散し、日光を遮断して急激な寒冷化を引き起こしたため、恐竜たちは絶滅したとされます。
一方、隕石衝突説に対しては、衝突後の微小な粉塵の量を過大評価している可能性があるとの指摘もあり、衝突後の大規模な森林火災やそれによる煙が太陽光を遮り、地上や海中の生態系が壊滅的な影響を受けたという説もあります。
この仮説によると、恐竜たちが絶滅した直接的な原因は餌不足であり、衝突から生き延びた恐竜たちも餌を見つけられずに絶滅したとされています。
また、隕石衝突が引き起こした地球規模の環境変動が、火山活動などと連動して絶滅を引き起こしたという「連動説」も存在しています。
さらに、かつては伝染病や植物相の変化（草食恐竜の食物の枯渇）、または哺乳類による恐竜の卵の乱獲といった仮説も提案されましたが、現在ではこれらの説は支持されていません。
このように、恐竜の絶滅の原因については多くの仮説が存在しており、その正確な理由を特定することは依然として難しい問題となっています。
鳥類は恐竜の進化した姿
鳥類が恐竜の一種として現代まで生き残ったことが学術的に認められた結果、「恐竜は絶滅していない」とか「絶滅を免れた恐竜が鳥類だ」といった新たな視点が生まれた。
生物学的特徴
現代の鳥類を除いても、恐竜は長い期間、陸上で繁栄していた動物群で、その体形は非常に多様であった。
体の大きさもニワトリ程度のものから、陸上動物としては最も巨大なものまでさまざまで、特に竜脚類は地球上で最も大きな動物群であった。
スーパーサウルスなどの一部の竜脚類は、地球史上最大の陸生動物と考えられているが、さらに大きな種類も記載されているものの、化石が見つかっていないため、正確には不明である。
体重については、ギラファティタンなどが80トン以上だったとされる説もあるが、その信憑性については議論がある。
初期の恐竜、特にエオラプトルやコエロフィシスなどは肉食性だったが、早い段階で草食性に移行したグループも存在している。
姿勢と歩行
恐竜は多くの爬虫類と異なり、四肢を胴体の直下に持つという特徴があり、これにより体重を支えやすく、また軽快な歩行が可能だった。特に二足歩行をする恐竜が多かったのは、この特徴が進化的に受け継がれたからであり、二足歩行はその進化の過程で重要な役割を果たした。
また、二足歩行の恐竜は、体重のほとんどを後ろ足で支えることが多く、これが恐竜の生存に重要な要素だった。
恐竜の歩行は、現代の哺乳類とは異なり、後ろ足を中心に尾でバランスを取っていたとされ、その尾の存在は非常に重要だった。
また、恐竜が二足歩行で進化したことにより、身体の構造においても変化があった。さらに、跳躍走行が可能だった大型恐竜も少数存在しており、そのような恐竜は、特にアロサウルスのような大型獣脚類に見られる。
恐竜の二足歩行は、ヒトの歩行とは異なり、後ろ足を支えにしてバランスを取るため、上半身と下半身のバランスを保つために尾が重要な役割を果たしていた。
肌の色
恐竜の色に関しては化石からはわかっていない。最初は爬虫類と同じように茶色や緑色といった地味な色が推測されていたが、羽毛を持った恐竜が発見されると、カラフルな恐竜の復元画が登場するようになった。
2008年に行われた研究で、恐竜の羽毛に含まれる色素が分析され、色の推定が行われたが、完全には解明されていない。
羽毛
1990年代以降、中国の白亜紀の地層で羽毛を持つ恐竜が次々と発見され、鳥類との関係が明らかになり、空を飛ぶ鳥類と恐竜の進化的つながりが明確になった。このため、鳥類は恐竜の獣脚類から進化したとする説が広く受け入れられている。
気嚢による呼吸
恐竜は空気を効率的に吸い込むために気嚢を発達させた。
これにより、低酸素環境でも生き残る能力を得ることができた。これにより、恐竜は空気を効率よく交換し、進化の過程で体が大きくなるのを可能にした。また、この呼吸システムが、恐竜の骨を軽くし、大きな体を支えるのに役立った。
復元
恐竜の習性は化石から完全には読み取れないが、足跡や生息地の情報を基に、推測が行われている。
恐竜の行動や姿勢については現代の鳥類や大型動物の行動に基づいて予測されている部分が多い。恐竜はもともとワニのような皮膚を持っていたと考えられており、羽毛を持った恐竜も存在した可能性があるが、実際の皮膚の色や模様はわかっていない。
まとめ
恐竜は、約2億3千万年前の三畳紀から約6600万年前の白亜紀末にかけて地球上で繁栄した爬虫類の一群です。
恐竜という言葉は「恐ろしいトカゲ」を意味し、現代の爬虫類とは異なり、直立した姿勢で歩行し、二足歩行のものも多かったことが特徴です。
恐竜の体形やサイズは非常に多様で、小型のものから、最大で40メートルを超える巨大なものまで存在しました。
恐竜は肉食性、草食性、雑食性のさまざまな種類があり、進化の過程でさまざまな環境に適応しました。
初期の恐竜は肉食性が多かったが、後に草食性の恐竜も登場しました。恐竜は羽毛を持った種類もあり、現代の鳥類はその直接的な子孫とされています。
恐竜はまた、非常に効率的な呼吸システム（気嚢）を持っており、これにより酸素の摂取能力が高く、巨大化を遂げました。
恐竜は、約6600万年前に起きた大規模な絶滅イベントによってほとんど絶滅しましたが、鳥類という形でその一部は現代に生き残っています。
