大分県は温暖な気候と豊かな自然環境に恵まれています。
遠浅の海が広がる豊前海から、複雑な入り江が特徴的な豊後水道まで、多様な地形を活かし、それぞれの地域で漁業や養殖業が発展しています。
また、山間部では、米を中心に野菜や果物、しいたけの栽培、そして牛の飼育が行われています。
このような豊かな自然と歴史的な背景から、地域ごとに独自の食文化が育まれ、さまざまな郷土料理が伝えられています。
黄飯とかやくの由来を紹介
「黄飯」は、16世紀ごろにキリシタン大名であった大友宗麟が西洋の宣教師から教わった料理がルーツとされています。
また、別の説では、藩主が快気祝いの際に振る舞ったものや、参勤交代中に家臣へのもてなし料理として提供されたことが始まりとも言われています。
もともとはサフランを使用していましたが、後に臼杵地方に自生するくちなしに置き換えられたと考えられています。
一方、「かやく」は忙しい商家で作られた家庭料理がルーツとされ、大晦日に大量に作り置きされ、温め直して食べられたと言われています。
煮返すごとに味が染み込み、家庭の知恵から生まれた料理です。
黄飯の材料とレシピ
材料(1人分)
黄飯
精白米:80g
水:96g
くちなしの実:0.2g
かやく
魚のすり身(えそ):45g
大根(拍子切り):50g
干ししいたけ(千切り):0.4g
ごぼう(ささがき):18g
人参(短冊切り):18g
油揚げ(千切り):4g
葉ねぎ(小口切り):5g
木綿豆腐(つぶす):35g
サラダ油:2g
濃口しょうゆ:7g
塩:0.4g
作り方
下準備
1:くちなしの実を水に浸け、黄色い液を作る。
2:干ししいたけは戻し、油揚げは油抜きしておく。
調理
1:くちなしの水を使ってご飯を炊く。
2:鍋でサラダ油を熱し、魚のすり身、ごぼう、木綿豆腐、戻したしいたけ、油揚げの順に炒める。
3:次に大根と人参を加え、水分が不足している場合は少量の水を加えながら煮る。
4:火が通ったら調味料を加えて味を調え、最後に葉ねぎを混ぜる。
臼杵地方では赤飯の代わりとして「黄飯」が作られてきました。
くちなしの実が用いられるのは、色の美しさだけでなく、薬効があると考えられていたためです。
本来「黄飯」と「かやく」はセットで提供されていましたが、現在では「黄飯」の名称が広く使われ、「かやく」の方を「おうはん」と呼ぶことも多いようです。
まとめ
黄飯(おうはん)は、大分県臼杵市をはじめとする地域で親しまれている伝統料理です。
黄色いご飯を指し、主にお祝いの席や特別な日の料理として提供されてきました。
その特徴的な黄色は、くちなしの実を水に浸けて作られる天然の色素によるもので、鮮やかな見た目とともに古来より健康効果も期待されていました。
黄飯の起源には諸説あり、16世紀にキリシタン大名の大友宗麟がキリスト教の宣教師から教わった料理がルーツであるという説が有名です。
また、臼杵藩の藩主が快気祝いに振る舞ったことや、江戸時代の参勤交代の際に家臣へのご馳走として提供されたことが始まりとも言われています。
当初はサフランを用いて色付けされていましたが、後に地元で手に入るくちなしが代用されるようになりました。
黄飯は「かやく」と呼ばれる副菜とセットで提供されるのが一般的です。
「かやく」は魚のすり身や豆腐、大根、人参、ごぼうなど、たっぷりの野菜を煮込んだ料理で、黄飯の上にかけて食べるのが伝統的なスタイルです。この組み合わせは栄養バランスにも優れ、昔から家庭料理や給食にも採り入れられてきました。
現在でも、黄飯は臼杵地方の食文化を象徴する一品として愛され続けています。