福島県は日本で3番目に広い面積を誇り、阿武隈高原と奥羽山脈が南北に広がり、県内を中通り、会津、浜通りの3地域に分けています。
それぞれ気候や風土が異なり、多様な特産品に恵まれています。特に、きゅうりやトマトなどの野菜、美味しいお米、桃やりんご、梨といった果物の生産が盛んです。
また、山菜も豊富で、「くだもの大国」として知られています。さらに、黒潮と親潮が交わる潮目の好漁場があり、秋刀魚、たこ、ひらめなどの豊富な魚介類が水揚げされます。特に鯉の生産量は日本一です。このように、山の幸、海の幸、温泉など、さまざまな魅力が詰まった地域です。
こづゆとは?
「こづゆ」は会津地方を代表する郷土料理です。
江戸時代に武家の料理として始まり、時代とともに材料や調理法が変化し、現在の形は明治時代末期ごろに確立されました。
かつては「重」や「大平」と呼ばれていましたが、大正時代以降、「こづゆ」として定着しました。干し貝柱や里芋、きくらげ、人参、まめふなどが主な材料で、干し貝柱のだしを使い、素材の風味を活かした薄味で仕上げます。
祝い事や祭りの料理として
こづゆは冠婚葬祭や祝いの席で提供される特別な料理です。
当時、膳料理を手つかずで持ち帰る風習があり、こづゆは何度もお代わりして食べられる料理として重宝されました。料理は「大平」と呼ばれる蓋付きの大きな器に盛られ、そこから浅い朱塗りの椀に取り分けて供されました。
作り方
材料には、干し貝柱、里芋、人参、干ししいたけ、きくらげ、しらたき、白玉麩、季節の青物などが用いられます。
これらをだしで煮込み、醤油やみりんで調味します。野菜やきくらげなど多彩な食材を使用しているため、食物繊維やミネラルが豊富に含まれており、栄養価が高い料理です。
近年では、学校給食の献立にも取り入れられ、子どもたちに親しまれています。例えば、赤飯や鮭の唐揚げ、くるみ和えなどと組み合わせて提供され、郷土の味を楽しむことができます。
まとめ
こづゆは、福島県会津地方を代表する郷土料理で、特に祝い事や祭り、冠婚葬祭の席で振る舞われる伝統的な料理です。
もともとは江戸時代の武家料理が起源とされ、明治時代末期に現在の形になったとされています。名前の由来には諸説ありますが、「こづゆ」という名称は、浅い小さな椀に盛られたことから来ていると考えられています。
こづゆの特徴は、その素材にあります。主な材料は干し貝柱、里芋、しいたけ、きくらげ、にんじん、しらたき、白玉麩などで、これらをだしで煮込んで、薄味に仕上げます。
干し貝柱の旨味が深いだしを引き出し、素材の風味を最大限に活かすため、味付けは控えめです。季節の青物や山菜も加わり、彩り豊かな一品となります。
この料理は、もともと膳料理の一部として家庭に持ち帰り、何度でもお代わりして食べられることが許されていたため、特別な意味を持っていました。盛りつけには、円形の大きな器「大平」から、浅い朱塗りの椀「手塩皿」に取り分けて食べるという風習があり、酒の肴としても親しまれてきました。
こづゆは栄養価も高く、食物繊維やミネラルが豊富で、現代でも給食や家庭料理として親しまれています。福島の伝統的な味を感じることができる一品です。