山形県は、最上川を中心に発展した地域です。県内は歴史や風土によって異なる特色を持ち、食文化にもその影響が色濃く表れています。
庄内地域では北前船による京文化の影響が見られ、最上地域では山や川の恵みを活かした食文化が発展。村山地域は豊かな自然の中で野菜や果樹が多く育ち、置賜地域では上杉鷹山公の教えが現在にも息づいています。
これらの地域ごとの特徴が、山形独自の奥深い食文化を形づくり、今でも大切に受け継がれています。
いも煮の由来と特徴
山形県を代表する郷土料理「いも煮」には、二つの主な起源があるとされています。
一つ目は、最上川の中山町で船荷の積み替え作業をする人々を労うために、川原で里芋と干し鱈を煮たことから始まったという説です。
もう一つは、農業の神事から生まれ、約300年前から食べられていたという説で、この時はしょうゆ味のスープに里芋、干し鱈、こんにゃくが使われていました。現在では、長ねぎを加えるのが一般的ですが、当時は越冬可能なねぎが貴重品だったため使用されませんでした。
秋になると河原でいも煮を楽しむ光景は、山形県の風物詩として親しまれています。
また、地域ごとに材料や味付けが異なるのも魅力の一つです。例えば、海沿いの庄内地域では豚肉と味噌が使われるなど、土地ごとに個性があります。
いも煮の材料と作り方
材料(1人分)
里芋(塩でもみ下処理済み): 70g
牛肩肉(4cmの切り身): 30g
板こんにゃく(手でちぎる): 20g
長ねぎ(斜め切り): 20g
水: 150g
酒: 2g
砂糖: 2g
しょうゆ: 8g
塩: 少々
作り方
1:鍋に水と酒を入れ、里芋とこんにゃくを煮る。
2:6分ほど煮たら、牛肉と調味料を加え、アクを取りながら煮込む。
3:里芋が柔らかくなったら長ねぎを加え完成。
まとめ
いも煮は、山形県を代表する伝統的な郷土料理で、特に秋の風物詩として親しまれています。里芋、牛肉、こんにゃく、長ねぎなどを使用し、しょうゆベースのだしで煮込むのが一般的です。この料理は河原で大鍋を囲んで楽しむ「いも煮会」として、地域の絆を深めるイベントにもなっています。
いも煮には二つの主な由来があります。一つは最上川沿いの中山町で、船荷の積み替え作業をしていた人々の労をねぎらうために、里芋と干し鱈を煮たのが始まりとされる説。もう一つは農耕神事から発展し、約300年前から食べられてきたという説です。現在のように長ねぎが加えられるようになったのは比較的近年のことで、かつては貴重な越冬野菜であったため使用されませんでした。
山形県内では、地域ごとにいも煮の具材や味付けが異なるのも特徴です。内陸の村山地域では牛肉としょうゆ味が主流ですが、海沿いの庄内地方では豚肉と味噌味が一般的です。このような地域性の違いも、いも煮の楽しさを広げています。
いも煮は、家庭や地域行事で作られるだけでなく、観光イベントとしても注目されています。山形市では毎年「日本一のいも煮会フェスティバル」が開催され、大鍋で数万人分のいも煮が振る舞われます。長年にわたり親しまれ、形を変えながらも受け継がれてきたいも煮は、山形の文化や人々の絆を象徴する料理といえるでしょう。