栃木県は関東地方の北部に位置する内陸の県で、県庁所在地の宇都宮市は東京からおよそ90kmの距離にあります。
県内には、世界的に有名な日光国立公園をはじめ、豊かな自然が広がる8つの県立自然公園が点在し、首都近郊でありながら手つかずの自然が多く残されています。
日光輪王寺で行われる「強飯式(ごうはんしき)」など、栃木県独自の行事が全国的にも知られていますが、山や川を敬う文化は、現在も地域の伝統や行事に息づいており、季節ごとの料理とともに受け継がれています。
特に栃木県は、全国一の生産量を誇るニラや、甘くておいしい「とちおとめ」というイチゴなど、食材の豊かさでも知られています。
しもつかれとは?
栃木県に伝わる行事食の一つで、2月の初午(はつうま)の日に赤飯と一緒に稲荷神社に供えられる習慣があります。
この料理の名前には、「下野(しもつけ)の料理」や「酢むつかり(酢が入った料理)」などいくつかの由来があるとされています。
主な材料は、塩鮭の頭、大根、人参、節分の豆、酒粕などで、鬼おろしという竹製の粗目のおろし器を使って素材をすりおろします。
この器具は、大根や人参を適度な粗さでおろし、素材の旨みを引き出すのに最適です。また、「七軒分のしもつかれを食べると病気にならない」と言い伝えられており、近隣同士で分け合うことも多い料理です。
作り方
1:塩鮭の頭を下ゆでして臭みを取ります。
2:鍋に鮭の頭、水、酢を入れ、煮立たせた後にアクを取り、弱火で3時間ほど煮込みます。
3:大根、人参、大豆を加え、さらに1時間半ほど煮ます。
4:油揚げや酒粕を加え、醤油と塩で味を調えたら完成です。
この料理は、正月や節分の残り物を活用する保存食としても親しまれ、無病息災を祈る特別な意味が込められています。
また、家庭ごとに味付けが異なるため、地域や家族の伝統を感じられる一品です。
しもつかれを分け合って食べる文化は、農村部での助け合い精神や、家同士のつながりを深める役割を果たしていました。栄養価が高く、地域の知恵が詰まった伝統料理として、多くの人々に親しまれています。
まとめ
しもつかれは栃木県に伝わる伝統的な郷土料理で、特に2月の初午(はつうま)の行事に欠かせない一品です。この料理は、赤飯と一緒に稲荷神社に供える風習があり、無病息災や豊作を祈る意味が込められています。
主な材料には、塩鮭の頭、大根、人参、節分で余った豆、酒粕などが使われます。調理の際には「鬼おろし」という竹製のおろし器を使用し、食材を粗めにおろすのが特徴です。この器具は食材の旨みを引き出し、独特の食感を生み出します。
しもつかれは、家庭ごとに味付けや材料が異なり、地域の個性が反映された料理です。昔は正月や節分の残り物を活用して作る保存食として親しまれ、食材が貴重だった時代の知恵が詰まっています。また、「七軒分のしもつかれを食べると病気にならない」という言い伝えがあり、近所で分け合う風習が育まれてきました。
しもつかれは、家庭の味や地域文化を感じさせる一品であり、現代でも栃木県の食文化を象徴する料理として親しまれています。