四国の北西に位置する愛媛県は、北に広がる瀬戸内海と南にそびえる石鎚山を擁し、豊かな自然環境に恵まれています。
瀬戸内海や宇和海には多くの島々が点在し、温暖な気候と豊富な自然が調和した地域です。
古代の歌集『万葉集』にも「島山の美しい国」として詠まれたこの土地には、新鮮で多彩な食材が豊富に存在します。地元で採れる食材を生かした郷土料理は、地域ごとに受け継がれており、ふるさとの味として親しまれています。
鯛めしについて
愛媛県の代表的な郷土料理の一つに「鯛めし」があります。
この料理は、瀬戸内海で育まれた真鯛を丸ごと炊き込むスタイルで知られ、古くから祝いの席で提供されてきました。
その起源は、神功皇后が祈願の際に漁師たちから献上された鯛を用いた料理にさかのぼると伝えられています。この鯛と米を炊き込む料理は、「吉兆」の象徴として大切にされてきました。
鯛めしの材料と作り方
材料(1人分)
精白米:72g
水:81g
まこんぶ:0.5g
真鯛(角切り):25g
清酒:2g
食塩:0.2g
こいくちしょうゆ:3.5g
うすくちしょうゆ:1g
作り方
1:精白米は炊く30分前に洗って水気を切る。
2:炊飯器に米、水、酒、塩、しょうゆを入れて混ぜる。
3:真鯛は水気を拭き取り、昆布とともに炊飯器に入れる。
4:炊き上がったら、鯛の骨を取り除き、身をほぐして混ぜ合わせる。
桜前線が北上する頃、瀬戸内海には産卵期を迎えた真鯛がやって来ます。
鯛めしは、その季節の真鯛を使うことで風味豊かな仕上がりとなりますが、脂が多すぎる鯛よりも、やや脂の少ないものが上品に仕上がるとされています。
愛媛県では「少年の日」を祝う特別な給食に鯛めしが取り入れられます。
伝統的な作り方に加え、栄養価を考慮し、にんじんやごぼうなどを加えたアレンジも行われています。鯛は「めでたい」の象徴とされ、祝いの場にふさわしい一品です。
まとめ
鯛めしは、愛媛県を代表する郷土料理の一つで、真鯛を使った炊き込みご飯です。特に瀬戸内海で育った真鯛は、エビやカニ、貝類を食べて育つため、身が締まり、味が濃いとされています。
鯛めしには主に2つの作り方があります。
1つ目は、真鯛を丸ごと炊飯器に入れて炊き込むスタイルで、素材のうまみがご飯にしみ込み、香り豊かな仕上がりとなります。
もう1つは、鯛の刺身を特製のだしに漬け込み、それをご飯にのせていただく「漁師風鯛めし」です。どちらも地域ごとに特徴があり、それぞれの家庭やお店でアレンジされています。
この料理の起源は、古代に遡るといわれています。神功皇后が瀬戸内海で祈願した際に漁師から献上された鯛を使い、米と一緒に炊き込んだのが始まりと伝えられています。
そのため、鯛は「めでたい」と語呂がよいことから、祝いの席でよく用いられるようになりました。
鯛めしはシンプルな料理ですが、真鯛の新鮮さや炊き加減が味を左右します。
特に春先に獲れる「桜鯛」は人気が高く、程よい脂がのった身がご飯とよく合います。現在では、地域の特産品として全国的に知られ、愛媛県を訪れる観光客にも親しまれています。