大阪府は、瀬戸内海の東端に広がる大阪湾を望み、生駒山地や金剛山地、和泉山脈に囲まれた大阪平野を中心に発展してきました。
これにより、海や山の豊富な食材に恵まれてきた地域です。また、江戸時代には瀬戸内海を経由して北前船が各地の特産品を運び込んだことで、「天下の台所」と呼ばれるほどの商業の中心地として栄えました。
これが現在の「食の都・大阪」としての名声の一因ともいえます。さらに、商人文化に根ざした合理的な発想から、多様な料理が生まれました。周辺地域では、各地特有の食材を活かした郷土料理も多く見られます。
じゃここうこの歴史と背景
「じゃここうこ」は、大阪府南部の泉州地域(泉佐野市や岸和田市など)で昔から作られてきた郷土料理です。
この料理は、地域特産の「水なす」の古漬けと、大阪湾で獲れる「えびじゃこ」を濃口醤油で煮込んだものです。
家庭ごとに味付けが異なり、保存がきくよう濃い味付けにすることが多かったとされています。また、材料として大根の古漬けや、えびじゃこの代わりにイワシを使うバリエーションもあります。
じゃここうこの材料と作り方
材料(1人分)
水なすの古漬け(縦4等分にする) 1/2本
えびじゃこ(頭と尻尾を取る) 5g
濃口醤油 2g
水 適量
下ごしらえ
1:水なすは一晩水につけて塩抜きする。
2:濃口醤油や水の量は、塩抜き具合によって調整する。
作り方
1:鍋に濃口醤油と水を入れて沸騰させる。
2:えびじゃこを加えて煮込む。
3:水なすを加え、さらに煮る。
4:水なすが柔らかくなったら火を止め、味をなじませる。
漬け物は、風味を保ちながら長期保存が可能な食品です。
昔の人々は、水なすが豊作の時期に漬け物にして保存し、さらにそれを使った料理として「じゃここうこ」を工夫しました。当時の保存食として塩味が強かったこの料理は、食材を無駄にしない知恵の象徴でもあります。
このように、大阪の郷土料理は地域の風土と文化を映し出したものであり、伝統を感じさせる味わい深いものとなっています。
まとめ
「じゃここうこ」は、大阪府南部の泉州地域(泉佐野市や岸和田市周辺)で昔から作られている郷土料理です。地域特産の「水なす」の古漬けと、大阪湾で獲れる「えびじゃこ」を濃口醤油で煮込んだ保存食として親しまれてきました。
水なすは、一般的ななすに比べて皮が柔らかく、水分を豊富に含んでいるのが特徴です。昔の人々は収穫した水なすを漬物に加工し、さらにその古漬けを利用して「じゃここうこ」を作り、保存性を高めていました。一方、「えびじゃこ」は、瀬戸内海を含む日本沿岸で見られる体長約12cmの小型のエビで、泉州地域では伝統的な食材です。
この料理は各家庭で味付けや材料のアレンジがされ、例えば水なすの代わりに大根の古漬けを、えびじゃこの代わりにイワシを使うこともあります。濃い味付けは保存を目的としており、長期間食べられるよう工夫されていました。
現在では、保存食としてではなく、泉州の郷土料理として特産の水なすとえびじゃこの風味を楽しむ一品として愛されています。