炭水化物は人間にとって重要な栄養素ですが、日常生活でつい摂り過ぎてしまうことがあります。たとえば、毎日ご飯をたっぷり食べ、おやつにはパンやケーキ、夜には麺類を楽しむ人などは、その傾向が見られます。
このような食生活を送っている人には、低炭水化物ダイエットが向いています。このダイエット方法では、その名前の通り、炭水化物の摂取量を減らすことが基本となります。
しかし、単にご飯やパン、麺を控えればいいというわけではありません。糖分の多い食品も控える必要があり、果糖を含む果物や甘い飲み物、お菓子も避けるべきです。
低炭水化物ダイエットに向いている食材としては、野菜、肉、魚、卵、大豆製品などが挙げられます。主食の量を減らす必要はありますが、おかずは比較的自由に楽しめる点がメリットです。
ただし、甘みのある芋類は控えるのが良いでしょう。炭水化物の摂取を極端に減らしすぎると、リバウンドしやすくなったり、低血糖のリスクが高まることもあります。
炭水化物を完全に断つのではなく、適度に減らしてバランスを保つ方が、無理なく続けやすく、栄養バランスも崩れにくいでしょう。
中年に適したダイエット法と食事制限
ダイエットと聞いて、まず食事の制限を考える方は多いでしょう。特に体型を気にし始めた中年の方々は、食事制限に頼ることがよくあります。
しかし、若い人に比べて、中年には食事制限ダイエットがあまり向いていません。それは、体重が減ることだけでなく、必要な骨や筋肉まで落ちてしまう可能性があるからです。
年齢を重ねると筋肉は自然に減っていく傾向にありますが、食事を制限すると、その減少がさらに加速してしまいます。
中年のダイエットでは、食事制限をするよりも、筋肉を維持・増加させることが重要です。無理なダイエットは健康に悪影響を及ぼす可能性があるので、慎重に行うべきです。
したがって、中年の方には、食事制限よりも筋力を高める運動を取り入れたダイエット法が適しています。
低炭水化物ダイエットについて詳しく紹介
低炭水化物ダイエットは、炭水化物の摂取量を減らすことで体重を管理する方法です。
ご飯やパンなどの炭水化物には糖質が多く含まれ、私たちの体に必要なエネルギー源です。しかし、糖質を摂取すると血糖値が急激に上昇し、それに対処するためインスリンというホルモンが多く分泌されます。インスリンには脂肪を体内に蓄積しやすくする働きがあるため、血糖値が高くなると太りやすくなります。
低炭水化物ダイエットでは糖質を多く含む炭水化物を控えることで、血糖値の急な上昇を抑えることができ、脂肪が蓄積しにくくなります。また、血糖値の変動が緩やかになるため、空腹感も和らぎ、ダイエットが続けやすくなります。
この方法は、カロリー制限を必要としないため、比較的取り組みやすく、満足感を得やすいのでストレスなく体重を管理するのに向いています。
低炭水化物ダイエットと糖質制限ダイエットの違い
「低炭水化物ダイエットと糖質制限ダイエットの違いは?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
実は、この2つのダイエット方法には明確な違いはありません。どちらも糖質を減らすことで血糖値の上昇を抑え、脂肪が体にたまりにくくなる効果があります。ただし、低炭水化物ダイエットの方が、一般的には糖質の制限が緩やかとされています。
また、低糖質ダイエット、ローカーボダイエット、ケトジェニックダイエットも、糖質の摂取を抑えるという点では同じグループに属します。
低炭水化物ダイエットは本当に危険?
低炭水化物ダイエットが危険だと指摘されることもあります。
2018年の欧州心臓病学会の研究では、炭水化物の摂取が少ない人たちは、摂取が多い人たちに比べて死亡リスクが高いとされています。
具体的には、炭水化物の摂取が最も少ないグループは、死亡リスクが32%増加し、心血管疾患やがんによるリスクも高まる結果が出ています。
一方で、国立がん研究センターの研究によれば、炭水化物を摂り過ぎても摂らなさ過ぎても、死亡リスクが高まるというデータもあります。
また、糖尿病患者が糖質の摂取を減らすことで、肥満の改善につながることも示されています。そのため、低炭水化物ダイエットが必ずしも危険とは言い切れません。
大切なのは、健康状態に合わせて適切な方法で行うことです。体に無理をかけない範囲で糖質の摂取量を調整し、健康的に続けられる方法を選びましょう。
安全な低炭水化物ダイエットの実践方法
安全に低炭水化物ダイエットを行うためには、正しいやり方を知っておくことが重要です。以下のポイントに気を付けて取り組みましょう。
一日3回の食事で栄養をバランスよく摂る
低炭水化物ダイエットでは、炭水化物の摂取を減らしますが、その他の栄養素をバランスよく摂取することが求められます。三大栄養素(糖質、タンパク質、脂質)に加え、ビタミンやミネラルも意識して取り入れましょう。和食の一汁三菜は栄養バランスを保つのにおすすめです。
一日70~130gの糖質を摂取する
炭水化物を控えすぎると、体に悪影響を及ぼす可能性があります。日本人の食事摂取基準では、成人は一日の摂取エネルギーの50~60%を炭水化物から摂ることが推奨されています。目安としては、1日に70~130gの糖質を取ることが望ましいです。
基礎代謝が1,500kcalの場合、一日最低100gの糖質が必要とされていますので、過度な糖質制限には注意しましょう。