鼻茸は慢性副鼻腔炎(蓄膿症)などの状態でよく見られる症状です。簡単に言うと、鼻腔にできる良性のポリープ(腫瘍)で、鼻ポリープとも呼ばれます。ポリープには良性と悪性がありますが、鼻ポリープは良性のため命に関わることはありません。しかし、ポリープが大きくなると様々な症状を引き起こすことがあります。
鼻茸の代表的な症状は、長期間の鼻づまりです。初めは片方の鼻だけが詰まっている状態から、次第に両方の鼻が詰まり、症状が長引くことが特徴です。鼻ポリープは鼻の粘膜が炎症を起こし、腫れたものです。そのため、ポリープができると鼻の通りが悪くなり、鼻づまりが起きやすくなります。
症状が悪化すると、ポリープが鼻腔を塞いで嗅覚に障害をもたらすこともあります。鼻の内部には嗅覚を感じ取る部分(嗅裂)がありますが、ポリープが大きくなるとこの部分を塞ぎ、嗅覚の障害が生じるのです。嗅裂にポリープができる場合もあり、その場合は早い段階から嗅覚障害が見られることがあります。
鼻茸の位置や大きさによっては、ポリープが鼻の外に出てくることもありますし、鼻の形が変形するほど悪化するリスクもあります。単なる鼻水や鼻づまりと軽視して放置すると、厄介な病状を引き起こす可能性があります。
また、鼻茸が原因で頭痛が生じることもあります。鼻ポリープによる頭痛は、頭が重く感じるような痛みが特徴で、目の奥が痛むこともあります。原因不明の頭痛が続き、検査を進めていくうちに鼻ポリープが原因であると判明することもあります。
鼻ポリープは慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎の合併症としてよく発症します。副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎の症状も併発することが多く、気管支喘息との合併症としても見られます。
このように鼻ポリープは放置すると厄介な病状を引き起こすため、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎の治療を含め、早期の対応が必要です。
鼻茸の治療法
鼻茸は慢性副鼻腔炎(蓄膿症)に関連する症状で、鼻ポリープとも呼ばれます。風邪や鼻炎で鼻づまりが長引くと、炎症が悪化し慢性副鼻腔炎に進展することがあります。この状態では、鼻の内部に腫れた白いコブのようなものが見つかります。これが鼻ポリープで、放置すると次第に大きくなるため、早期の治療が求められます。
軽度の鼻茸の場合、薬物治療とネブライザー療法で対応できます。ネブライザー療法とは、薬剤を霧状にして鼻や口から吸入する治療法です。鼻茸には副腎皮質ホルモン薬をネブライザーで噴霧することがあります。最近では、マクロライド系抗生物質が症状の改善に効果的であると証明されています。そのため、長期間のマクロライド系抗生物質による治療を行う病院もあります。しかし、この抗生物質は重度の症状には効果が見られない場合がありますし、薬物治療とネブライザー療法だけでは改善しないこともあります。そのような場合には、手術が検討されます。
手術では、内視鏡を使用して局所麻酔を施し、鼻の入り口から直接鼻茸を切除します。内視鏡手術により鼻ポリープを完全に取り除き、副鼻腔内の空気の流れを改善して症状を軽減します。昔の手術法では、歯肉の上を切り頬の内側の骨を削る方法が取られており、かなりの痛みが伴いましたが、現在では内視鏡手術が一般的で、患者の負担が軽減されています。
また、内視鏡を使った手術に加えて、一部の病院ではマイクロデブリッターという新しい治療機器を使用しています。この最新の手術法では、内視鏡手術の約半分の時間で終了することができます。
とはいえ、手術で鼻ポリープを摘出しても再発する可能性があります。鼻ポリープは副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎と関連があるため、これらの病気が完全に治らない限り、再発のリスクが続くでしょう。
鼻茸と点鼻薬の治療
鼻茸は慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎の合併症として現れることがあり、一般に鼻ポリープとも呼ばれます。この治療には薬物療法と手術があり、薬物療法にはネブライザー療法、内服薬、点鼻液が含まれます。
ネブライザー療法では、まず鼻腔内の分泌物を吸引し、その後、薬液を霧状にして鼻腔内に噴霧します。この方法に使用される薬剤には主にステロイドや抗生物質があり、特に副腎皮質ホルモン薬(ステロイドの一種)がよく用いられます。
内服薬による治療では、粘液を溶かす薬やマクロライド系の抗生物質が長期間服用されます。粘液溶解剤は鼻水を出やすくするために使われ、マクロライド系抗生物質にはエリスロマイシン、クラリスロマイシン、ルリッドなどがあります。これらの薬を少量で長期間(約3ヶ月)使用することで、鼻茸が改善することがあります。
アレルギー性鼻炎や喘息が原因で鼻茸が発生した場合には、抗アレルギー剤が内服薬として用いられることもあります。点鼻液の治療では、ステロイド点鼻液が多く使用されます。点鼻液は液体タイプが一般的ですが、粉末タイプもあり、使用には数分しかかかりません。
ステロイド点鼻液は副作用が少ないとされ、全身作用がないため、比較的安全に使用できます。ステロイドは強力な抗炎症作用とアレルギー抑制作用があるため、鼻茸の治療において重要な役割を果たします。特にアレルギー性鼻炎から鼻ポリープを併発した場合には必須の治療法です。
市販のステロイド点鼻液もありますが、購入時には注意が必要です。市販の点鼻液には血管収縮剤が含まれている場合が多く、これを長期間使用すると鼻粘膜が肥大し、鼻づまりが悪化する恐れがあります。
まとめ
鼻茸についてのまとめ
定義: 鼻茸(鼻ポリープ)は、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)やアレルギー性鼻炎の合併症として鼻腔にできる良性のポリープです。
症状: 鼻づまり、嗅覚障害、頭痛、鼻水の増加などが挙げられます。ポリープが大きくなると、鼻の空気の通りが悪くなり、鼻腔を塞ぐことがあります。
原因
慢性副鼻腔炎: 鼻腔や副鼻腔の炎症が続くことでポリープが形成される。
アレルギー性鼻炎: アレルギー反応により鼻粘膜が炎症を起こし、ポリープができる。
喘息: アレルギーや炎症が原因でポリープが発生することがある。
診断
視覚検査: 内視鏡を用いて鼻腔内を確認する。
画像診断: CTスキャンなどでポリープの大きさや位置を評価する。
治療方法
薬物療法
ネブライザー療法: ステロイドや抗生物質を霧状にして吸入する。
内服薬: 粘液溶解剤やマクロライド系抗生物質を使用する。長期間の使用が必要。
点鼻薬: ステロイド点鼻液が使用され、炎症を抑え、鼻づまりを改善する。
手術療法
内視鏡手術: 局所麻酔で鼻の入り口からポリープを切除する。痛みが少なく、回復が早い。
マイクロデブリッター手術: 内視鏡手術の進化版で、短時間でポリープを除去できる。
再発リスク
手術後も再発の可能性があり、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎の治療が継続的に必要です。
注意点
市販の点鼻液: 血管収縮剤が含まれていることが多く、長期間の使用は鼻粘膜の肥大や鼻づまりの悪化を引き起こす可能性があります。
鼻茸は適切な治療を受けることで改善することが多く、症状が進行する前に早期対応が重要です。