副鼻腔炎や蓄膿症における主な症状は鼻水と鼻づまりです。頭痛、顔面痛、嗅覚低下、そして咳なども見られます。特に蓄膿症では咳が特徴的であり、その理由について説明します。
まず、副鼻腔炎でなぜ咳が出るのでしょうか?蓄膿症は鼻の副鼻腔に炎症が起こる病気です。
この炎症の原因は様々で、細菌、カビ、ハウスダスト、ダニ、花粉などが挙げられます。鼻水は体外に炎症の原因である細菌などを排出するために生じます。
通常、鼻水は前方に流れ出て鼻から排出されますが、まれに後ろに流れて口まで到達し、咳が引き起こされます。この場合、咳は鼻水と混ざり、湿った感じの痰が生じます。
この症状は子供によく見られます。大人の場合、副鼻腔に鼻水が溜まっても排出される経路が限られているため、鼻水がたまり続けます。
しかし、子供は副鼻腔と鼻腔の通りが良いため、鼻水が排出されやすいです。特に寝るときは横になるため、鼻水が喉に流れやすく、湿った咳が生じやすくなります。
ただし、副鼻腔炎が慢性化すると大人でも同様の症状が現れます。また、副鼻腔の炎症が喉に波及することで咳が起こることもあります。
鼻水が喉に流れ込み、咳が生じる症状を後鼻漏と呼びます。
後鼻漏の原因は鼻からの鼻水です。特に副鼻腔炎が慢性化すると後鼻漏になりやすいです。
他にもアレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎、萎縮性鼻炎、鼻内の腫瘍などが原因です。
健康な人でも鼻水の約3割は喉に流れ込みますが、無意識に飲み込まれています。そのため、後鼻漏は病気ではなく、身体の自然な反応です。
しかし、鼻炎になると鼻腔内の鼻水が増え、喉に流れる量も増えます。そのため、咳や痰が生じやすくなります。
後鼻漏による咳がある場合は、原因となる鼻の病気を治療することが重要です。喉の問題ではないため、風邪薬などで対処することは意味がありません。
副鼻腔炎の多様な症状
副鼻腔炎は、ねばねばした膿のような鼻水が出る症状が特徴ですが、この鼻水が喉に流れ込んでしまうと、喉に絡んでしまいます。
この絡んだ鼻水は粘度が高く、咳をしてもなかなか出すことができないため、咳がひどくなることもあります。
さらに、喉に流れ込んだ鼻水は気管支で細菌感染を引き起こすリスクがあります。
これによって気管支が炎症を起こし、苦しい思いをすることになる可能性があります。
喘息の合併症としても咳が多く見られます。
喘息の人は副鼻腔炎にかかりやすいとされ、特に気管支喘息の場合は気管支がデリケートであるため、鼻汁からの細菌感染には特に注意が必要です。
風邪をひいて副鼻腔炎が悪化し、鼻水の量が増えると、気管支に流れ込んでくる鼻水の量も増えます。
これによって気管支に炎症が起こりやすくなり、喘息発作を引き起こす可能性が高まります。
咳が続く場合は、喉が乾燥しないように水分をこまめに摂取したり、鼻水が気管支に流れ込まないように鼻をすすらないように心がけることが重要です。
しかし、痰が絡んで咳が苦しい場合には、かかりつけの病院で診察を受けることが推奨されます。
病院で鼻と喉の処置を受ければ、長く苦しむことなく早めに症状が改善されることが期待できます。
また、ネブライザー吸入も鼻と喉に行うと、咳の症状が軽減される可能性があります。
副鼻腔炎の助成金
2015年7月から大阪府で、副鼻腔炎の中等症状以上が難病指定されました。
この指定難病の申請方法は以下の通りです:特定医療費支給認定申請書を記入し、臨床調査個人業(診断書)を医師に書いてもらい、保険証の写し、市町村民税課税証明書、世帯全員の住民票、同意書を提出すると精査され、難病指定されます。
難病指定されると医療費が安くなるだけでなく、厚生労働省からの助成対象にもなります。
副鼻腔炎が長引いている場合は、かかりつけの耳鼻咽喉科で相談してみることをお勧めします。
副鼻腔炎の自然治癒
副鼻腔炎(蓄膿症)の主な症状は鼻水と鼻づまりですが、多くの人はその内自然治癒すると考えがちです。しかし、放っておくと痛い目に遭う可能性もあります。
副鼻腔炎には急性と慢性があります。急性副鼻腔炎が慢性化する前に対策を講じる必要があります。対策としては、生活習慣の見直しなどが必要です。自然治癒を促すためには、生活習慣の改善が必要です。
副鼻腔炎の症状
副鼻腔炎の典型的な症状には、粘り気のある黄色いドロドロした鼻水の排出、鼻水が喉に流れて喉の違和感、絶え間ない鼻づまりや息苦しさ、鼻の周囲の痛み、嗅覚や味覚の低下、頭痛や頭の重さ、口臭の増加などがあります。
これらの症状がある場合、副鼻腔炎の可能性があります。この状態は放置しても自然に治るものではなく、通常は耳鼻科での治療が必要です。
一般的な治療法は薬物療法が主流であり、それに加えて鼻の洗浄や吸引などが行われます。
食事によって自然治癒を促進する食品は、太りやすい食品があるように、副鼻腔炎や鼻づまりを引き起こす可能性のある食品も存在します。
たとえば、イモ類、バナナ、アボカド、豆腐、豆乳、ヨーグルト、バター、チーズ、生クリームなどは鼻づまりの原因になりやすいとされています。
さらに、砂糖を多く含むお菓子やケーキ、饅頭なども同様であり、油を多く含む食品も鼻づまりを引き起こしやすいでしょう。
副鼻腔炎の方はこれらの食品を摂取しすぎていないかを確認してみてください。食生活の改善は自然治癒を促す重要な要素です。
副鼻腔炎の自然治癒を求める場合、生活習慣の改善が不可欠です。十分な睡眠時間を確保することは免疫力を高めるためにも重要です。
また、初期段階の症状には、民間療法としてどくだみ茶やなた豆茶などを試してみることもできます。
なた豆は古くから蓄膿症の民間療法として使用されており、排膿作用と免疫力向上の効果があるとされています。
蓄膿症は風邪ウイルスによって引き起こされることが多いため、免疫力の向上は重要です。ただし、初期段階の症状を放置すると、鼻水に菌が移り、やがて膿に変化してしまいます。
膿が出始めた段階では家庭での対処だけでは難しく、市販の薬でも治療が難しい場合があります。したがって、蓄膿症が悪化している場合は早めに病院を受診しましょう。
慢性化や重症化する前であれば、鼻洗浄や抗生物質による治療で対処できますが、重症化した場合は手術が必要になる可能性もあります。
副鼻腔炎は重症化すると中耳炎や髄膜炎を併発することもあるため、軽視せずに早期発見と対策が重要です。
何もせずに自然治癒を待つのはリスクが高いため、副鼻腔炎の方は鼻をかむことで予防にも努めましょう。
副鼻腔炎の手術費用について
鼻ポリープや鼻茸の治療は、軽度な場合は薬物療法で対処可能です。
しかし、薬物療法でも改善されない場合は手術によってポリープを切除することがあります。
ポリープの切除により鼻の通りが改善され、鼻づまりやその他の症状も緩和されます。
手術費用について気になることがありますが、これは鼻ポリープの大きさや位置、症状の重症度によって異なります。
したがって、症状によっては、日帰り手術で鼻茸摘出術を受けることも可能です。実際、多くの鼻ポリープ手術は日帰り手術で行われています。
日帰り手術の場合、費用もそれほど高額ではありません。保険適用の場合、おおよそ1万円から2万円程度に収まります。
この金額には診察費や薬剤費などが含まれています。片方の鼻にのみ鼻ポリープがある場合、手術費用はさらに低くなり、1万円を下回ることもあります。
両方の鼻に鼻ポリープがある場合、同時に手術を行うことはまずありません。
まず片方の鼻のポリープを切除し、症状が安定した後にもう片方の手術を行います。
また、鼻茸摘出術によっては入院が必要な場合もあります。入院する場合、手術費用に1日あたり1万円から1万5千円程度の入院費用が加わります。
手術後も、しばらくは病院への通院が必要です。
なぜなら、手術後1~2週間は鼻腔内に汚れが溜まりやすく、鼻の清掃が必要だからです。
また、内服薬での治療を1~2ヶ月行う病院もあります。そのため、手術後も少なくとも1ヶ月間は病院への通院を予定する必要があります。
鼻茸を切除した後でも、炎症が繰り返し起こる可能性があります。
鼻茸の発生原因は副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などの過剰反応によるものです。
これらの疾患はすぐには完治せず、治療中に再び鼻茸が発生することがあります。
そのため、手術後も定期的な診察を受ける必要があります。早期発見すれば、薬物療法で対処できる可能性があります。
まとめ
副鼻腔炎は、副鼻腔内の粘膜の炎症を指す疾患であり、鼻の周辺に位置する空洞である副鼻腔が炎症を起こすことによって引き起こされます。
副鼻腔は鼻の奥や頬骨の中などにあり、通常は空気が通り抜けている空間ですが、炎症が起きると鼻づまりや鼻水、顔の痛みなどの症状が現れます。
この疾患には急性と慢性の2つのタイプがあります。
急性副鼻腔炎は通常、風邪ウイルスや細菌感染によって引き起こされ、急激な症状が現れます。
一方、慢性副鼻腔炎は長期間にわたって続く炎症であり、再発性や持続性の鼻づまりや鼻水、頭痛などが特徴です。
副鼻腔炎の主な症状には以下が含まれます。
鼻づまりや鼻水
顔の痛みや圧迫感
頭痛や歯の痛み
咳や喉の痛み
においや味覚の変化
疲労感や倦怠感
診断は、主に症状の詳細な評価や鼻の内視鏡検査、X線、CTスキャンなどの画像診断によって行われます。
治療法には、薬物療法、鼻洗浄、生活習慣の改善、手術などがあります。薬物療法では抗生物質や抗炎症薬が使用され、鼻洗浄は鼻腔内の汚れやアレルゲンを除去するのに役立ちます。
生活習慣の改善では、喫煙やアレルゲンの避け方、適切な水分摂取などが重要です。手術は、慢性副鼻腔炎の重症例や治療が効果的でない場合に選択されることがあります。
副鼻腔炎は放置すると合併症を引き起こす可能性がありますので、症状が続く場合は早めに医師の診察を受けることが重要です。