岐阜県は日本の中央付近に位置し、名古屋圏の住宅地として発展したエリアや、飛騨高山、下呂温泉、世界遺産の白川郷といった観光名所でも有名です。
また、夏は全国有数の暑さを誇り、冬は厳しい寒さに見舞われる典型的な内陸性気候が特徴です。
そのため、四季折々の自然景観が楽しめ、新緑や紅葉、雪化粧した山々が広がります。さらに、地元ならではの農産物も豊富で、それらを活用した伝統料理が古くから親しまれてきました。岐阜県は、豊かな自然と美味しい食文化が魅力の土地です。
朴葉ずしの由来
朴葉ずしは飛騨地方を代表する初夏の伝統料理です。
この地域では、春の農作業がひと段落する6月頃に朴葉ずしを作り、労をねぎらうごちそうとして楽しまれてきました。
山々に広がる朴の葉が大きく育つこの季節は、冬が長い飛騨の人々にとって初夏の訪れを感じさせる時期でもあります。
朴の葉は香りが良く、大きな葉はお皿代わりとして使えるほか、殺菌作用があるとされています。外での作業中に、箸を使わずそのまま食べられる便利さも魅力です。この料理は、自然の素材を賢く活用する昔の知恵が詰まっています。
地域や家庭によって具材や包み方が異なるのも特徴で、鯖や鮭の酢漬け、蜂の子の煮物、山菜や漬物などが使われます。それぞれの家庭で受け継がれてきた味わいが大切に守られています。
朴葉ずしの材料とレシピ
材料(1人分)
精白米:80g
水:88g
【合わせ酢】
米酢:12g
砂糖:8g
食塩:0.5g
べにさけ:20g
清酒:1g
食塩:0.3g
乾しいたけ:1g
たけのこ(水煮):10g
砂糖(三温糖):2g
薄口しょうゆ:3g
清酒:1g
本みりん:1g
甘酢生姜:3g
朴葉:1枚
作り方
1:精白米を硬めに炊き、炊き上がったら合わせ酢を混ぜてすし飯を作る。
2:紅鮭は塩をふって焼き、骨や皮を取り除いてほぐし、酒をふる。
3:しいたけとたけのこを刻み、砂糖、しょうゆ、酒、本みりんで煮る。
朴葉を洗い、すし飯と具材をのせて包む。
※温かいご飯で包むと朴葉の香りが移りやすくなります。
まとめ
朴葉ずしは、岐阜県飛騨地方の初夏を代表する郷土料理です。
この地域では、春の農作業が一段落する6月頃に作られ、農休みのごちそうとして親しまれてきました。
朴の葉は飛騨地方の山々で採れるもので、香りが良く、広い葉はお皿代わりになる便利な自然の素材です。また、殺菌作用があるとされ、野外での農作業の際にも活躍しました。この料理は、自然を活用した昔の知恵が詰まっています。
具材は地域や家庭によって異なり、鯖や鮭の酢漬け、蜂の子の煮物、山菜、漬物など、地元で手に入る材料が中心です。
朴葉にすし飯をのせ、その上に具材を飾り、香りが移るように包むのが一般的な作り方です。それぞれの家庭で受け継がれてきた味わいや包み方があり、家ごとの個性が楽しめます。
現在では、お祭りや観光地などで振る舞われることも多く、飛騨地方の風土を感じられる伝統料理として広く知られています。四季の移ろいと地元の自然が生んだ、郷土ならではの味わいです。