滋賀県は山々に囲まれた地形の中心に、日本で最大の湖である琵琶湖を有する地域です。
この豊かな自然環境により、湖で採れるビワマスやコアユ、山で採れる山菜やきのこ、さらに近江米や野菜、茶といった季節ごとの恵みが豊富です。
また、長い歴史の中で生み出された郷土食には、でっちようかんや赤こんにゃくなどの特産品、さらにはフナズシなどの発酵食品も含まれています。
こうした地域の食文化は、琵琶湖を中心に育まれ、地元で大切に継承されてきました。現在では「滋賀の食文化財」に指定されている伝統料理も存在します。
琵琶湖の固有種「ビワマス」から生まれた秋の味覚
琵琶湖には、多くの淡水魚や貝類が生息しており、その中には固有種も豊富です。
「アメノイオ」とはビワマスの別名で、琵琶湖にのみ生息するサケ科の魚です。産卵期を迎える秋、増水した川を遡る様子が「雨の魚」と呼ばれる由来となっています。
「アメノイオ御飯」は、調味したビワマスを具材とともにご飯に炊き込む料理で、秋を代表する郷土食です。
地域ごとに炊き方や呼び名が異なり、湖南や湖西では「アメノイオ御飯」、湖北では「マスめし」とも呼ばれます。平成10年には「滋賀の食文化財」として登録されました。
アメノイオ御飯の材料と作り方
主な材料(1人分)
精白米 65g
強化米 0.2g
ビワマス(切り身) 30g
にんじん、ごぼう、乾しいたけ、葉ねぎ(適量)
調味料(しょうゆ、みりん、酒など)
調理手順
1:米を洗い、しいたけを戻しておく。
2:調味料でビワマスを煮てほぐす。
3:煮汁に追加の調味料と水を加え、炊飯器で具材とともに炊き上げる。
「アメノイオ御飯」は地域の人々が集まる場で親しまれてきた料理です。昔ながらの調理法では、炊きあがったご飯にビワマスを振りほぐして混ぜますが、近年では、煮たビワマスを炊き込む方法が主流です。
この郷土料理は、滋賀の豊かな自然と人々の知恵が生んだ食文化の象徴といえるでしょう。
まとめ
アメノイオ御飯は、滋賀県の琵琶湖でとれる固有種「ビワマス」を使った郷土料理で、秋を代表する味覚です。「アメノイオ」とは、ビワマスの別名で、産卵のために雨の後に増水した川を遡る様子が「雨の魚」と呼ばれる由来です。
この料理は、ビワマスを調味料で煮てほぐし、にんじんやごぼう、しいたけなどの具材とともに米と一緒に炊き込んだものです。
炊き上がると魚の旨味がご飯全体に染みわたり、深い味わいが楽しめます。地域によって炊き方や呼び名が異なり、湖南や湖西地域では「アメノイオ御飯」、湖北地域では「マスめし」として知られています。
もともとは若者たちの集まりや収穫の祝いなど、大勢が集まる場で作られることが多い料理で、滋賀の伝統的な食文化の一端を担っています。
平成10年には「滋賀の食文化財」に指定され、地域の魅力を伝える料理として受け継がれています。琵琶湖の自然が育んだ豊かな食材と、地元の知恵が詰まった一品です。