福井県は「食育」という概念を日本で初めて提唱した石塚左玄（いしづかさげん）の出身地として知られています。
「身土不二（しんどふじ）」という、その土地の食材を活かす考え方は、現代の地産地消の思想にも通じます。
また、古代には「御食国（みけつくに）」として天皇に食材を献上した歴史を持つ地域でもあります。
この地はコシヒカリ、越前ガニ、若狭ガレイなど、山海の恵みに満ちた食材が豊富で、それぞれの地域で特色ある料理が発展してきました。
うち豆の歴史と由来
福井県は曹洞宗の本山・永平寺や浄土真宗の門徒が多く、宗教行事が生活に根付いています。
特に、大豆の収穫期と重なる報恩講（ほうおんこう）の時期には、打ち豆が精進料理として多く用いられてきました。大豆をつぶして作る打ち豆は、食べやすさと調理のしやすさから、味噌汁や煮物など多くの料理に利用されています。
うち豆の材料と作り方
材料（1人分）
打ち豆：6g
油揚げ（短冊切り）：5g
大根（いちょう切り）：30g
里芋（いちょう切り）：25g
人参（いちょう切り）：10g
ごぼう（ささがき）：3g
長ねぎ（小口切り）：5g
米みそ：10g
昆布：2g
水：200g
下準備
1：昆布と水でだしをとる。
2：打ち豆を一晩水に浸して戻す。
3：油揚げは湯通しして油を抜く。
作り方
1：鍋にだし汁と大根、里芋、打ち豆、人参、ごぼう、油揚げを入れ、柔らかくなるまで煮る。
2：具材が煮えたら、味噌を溶き入れる。
3：最後に長ねぎを加えてひと煮立ちさせたら完成。
打ち豆は、大豆を石臼でつぶした加工食品で、保存性が高く、さまざまな料理に活用されています。
福井県では、学校給食でも味噌汁や煮物に取り入れられ、子どもたちにも親しまれています。このような食文化を次世代に伝え、大豆の魅力を広めていきましょう。
まとめ
うち豆は、大豆を水で戻した後、石臼の上で木づちを使って平らにつぶした加工食品です。
この工程によって、大豆が柔らかくなり、火の通りが良くなるため、調理しやすく食べやすい特徴があります。保存性も高いため、長い間日本の伝統的な家庭料理や精進料理に使われてきました。
特に福井県では、秋に収穫した大豆をうち豆に加工し、味噌汁や煮物など多様な料理に活用してきました。
宗教行事の際に多人数分の料理を用意する必要があったため、手軽で栄養豊富なうち豆は重要な食材でした。
また、大豆には良質な植物性たんぱく質や食物繊維、カルシウム、鉄分が含まれており、栄養価が高いこともその人気の理由です。
現代では、保存食としての需要だけでなく、健康志向や伝統食への関心の高まりから、和え物やサラダなどにも取り入れられ、幅広く親しまれています。
うち豆は、昔の知恵が活きた食材として、次世代へ伝える価値のある日本の食文化の一部です。
