風邪のような症状が出たり、くしゃみや鼻づまりがひどくなると、ますます風邪を疑いますよね。その次に、花粉症やハウスダストによるアレルギー性鼻炎を考えることが一般的でしょう。
しかし、実際に医師にかかると、風邪でもなく、アレルギー性鼻炎でもないという場合があります。そんな時は、血管運動性鼻炎を考えるべきかもしれません。
それでは、血管運動性鼻炎とは何でしょうか? 血管運動性鼻炎は、鼻の過敏性の一つです。くしゃみや鼻水などは、異物が体内に入った際に体が排除しようとする防御反応です。鼻の過敏性は、この防御反応が過剰に出る症状であり、アレルギー性鼻炎も含まれます。
アレルギー性鼻炎は、外部からのアレルゲンによって鼻粘膜がアレルギー反応を起こす病気です。くしゃみ、鼻水、鼻づまりが主な症状です。
一方、血管運動性鼻炎は、アレルギー反応が関与していないため、特定のアレルゲンが特定されません。しかし、症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまりとほぼ同じですので、外見では区別が難しいです。
血管運動性鼻炎は、原因がはっきりしない鼻炎です。ただし、鼻粘膜の自律神経のバランスが乱れていると考えられており、それにより鼻炎の症状が現れるとされています。
鼻粘膜の自律神経のバランスが乱れる原因はさまざまです。急激な温度変化や、暖かい場所から外に出ることで鼻炎の症状が出やすくなります。他にも、精神的ストレスや埃、タバコの煙、妊娠なども鼻粘膜の自律神経を乱す要因となります。
症状はアレルギー性鼻炎とほぼ同じですが、花粉症に見られる目のかゆみはありませんので、それで区別することができるかもしれません。治療はほぼ同じですが、減感作療法は行えません。
減感作療法は、アレルゲンに対する免疫を高める治療法ですので、血管運動性鼻炎では使用できません。予防が難しい病気ですが、精神的ストレスが原因の一つであるため、ストレスをためないようにすることが大切です。
後鼻漏の原因について
のどに付着した粘液が後鼻漏の典型的な症状です。一般的に、後鼻漏の原因の約40%は副鼻腔炎です。
その他の原因としては、アレルギー性鼻炎、急性鼻炎(通常の風邪)、寒冷性鼻炎(温度変化に弱い鼻)などがありますが、これらの後鼻漏は水っぽいものであり、のどに付着する自覚症状はほとんどありません。
風邪による副鼻腔炎から後鼻漏が起こると考えられます。副鼻腔は頬と目の間の骨の中にある空間で、通常は空気が通っていますが、炎症が起こると粘液や膿がたまります。
それが副鼻腔炎と呼ばれる状態です。慢性化すると鼻の中に絶えず粘液や膿がたれ込んで後鼻漏となります。
耳鼻咽喉科を受診し、鼻の中の検査、特に鼻咽腔ファイバースコープによる観察で副鼻腔から流れる粘液や後鼻漏を確認すれば、診断は比較的容易です。鼻のX線検査や副鼻腔CT検査も副鼻腔炎の状態を把握するのに役立ちます。
ただし、副鼻腔炎が軽度の場合は、粘液や後鼻漏の徴候が見られないこともあるため、複数回の診察が必要な場合があります。
副鼻腔炎はマクロライド系抗生物質と去痰剤の内服治療で約70%が改善します。治療期間は副鼻腔炎の程度により1〜3ヶ月かかります。
治療を開始して早期に症状が改善しますが、途中で治療を中断すると副鼻腔炎が悪化し、風邪をひくたびに痛みを伴う状態になることがあります。
治療が完了したことを確認し、再発を防ぐためには慎重な治療が重要です。
残念ながら、内服治療で完全に治らない場合もあります。その場合は内視鏡下副鼻腔手術などの外科治療が必要です。特にカビが原因の場合は内服治療が効果がなく、手術治療が有効です。
後鼻漏は不快な症状であり、かなり辛い状況です。また、せき払いを繰り返すことで周囲に迷惑をかけることもあります。耳鼻咽喉科で詳細な検査を受けることをお勧めします。
ネブライザーとは
ネブライザーは耳鼻科などで使用される医療機器で、子供から高齢者まで安心して利用できる、副鼻腔炎などの鼻の症状を改善するための治療法です。一般的に、副鼻腔を洗浄する装置だと誤解されることがありますが、実際にはそうではありません。
ネブライザーは、細かい霧状にした抗生物質の薬液を鼻に届けることで、副鼻腔内の炎症を抑える効果があります。通常、薬を鼻に入れても副鼻腔には届きませんが、ネブライザーを使用することで、微細な粒子が副鼻腔内にまで行き渡ります。
この治療は簡単で、効果も高いです。鼻に器具を当てて吸引するだけなので、痛みもなく、小さな子供の治療にも適しています。
家庭用ネブライザーとは
家庭用ネブライザーは、耳鼻科で使用されるものとは異なり、薬液が違います。耳鼻科でのネブライザーには抗生物質や膿を排出させるための薬が使用されますが、家庭用のものには薬は含まれていません。
家庭用ネブライザーは、生理用食塩水を使用しており、薬の効果は期待できませんが、それでも一定の効果があります。
鼻うがいとの比較
家庭での鼻の治療法としては鼻うがいもありますが、鼻うがいには保湿効果がありません。一方、家庭用ネブライザーは保湿効果があり、鼻うがいよりも効果的です。
家庭用ネブライザーは、副鼻腔内を暖め、乾燥している粘膜を保湿し、自浄作用を高める効果があります。副鼻腔炎を患っている人は、鼻の粘膜が乾燥しているため、抵抗力が低下しています。
ネブライザーを使うことで、副鼻腔の抵抗力を高め、予防にも役立ちます。
治療の効果
家庭用ネブライザーは薬を使用しないため、耳鼻科の治療と同じ効果は期待できませんが、それでも一定の効果があります。
耳鼻科で薬を使った治療を受けながら、家庭用ネブライザーを併用することで、治療を早めることができます。また、副鼻腔炎の悪化を防ぐための予防的な治療にも有効です。
プールと鼻炎の関係
プールに入ると鼻が詰まったり、鼻水が出たりする症状を経験する人は多いです。特に、アレルギー性鼻炎の人はこのような症状を起こしやすいです。では、なぜプールに入るとこれらの症状が出るのでしょうか?いくつかの説があります。
一つは、プールの消毒に使われる塩素が鼻の粘膜を刺激し、鼻炎を悪化させるというものです。
もう一つは、プールに浮かぶ微細なゴミが原因でアレルギー反応を引き起こすというものです。
結局のところ、アレルギー性鼻炎の人がこういった症状を起こしやすいようです。しかし、鼻炎があるからといって水泳ができないわけではありません。
実際、水泳が鼻アレルギーにどれだけ影響を与えるかについては、耳鼻科医の間でも意見が分かれています。悪化すると考える人もいれば、影響がないと考える人もいます。逆に、水泳が症状を改善するという見解の医師もいます。
鼻アレルギーの症状には個人差があるため、水泳の可否を一律に決めることはできません。ただし、塩素や微細なゴミが鼻粘膜を刺激するのは確かです。
水泳をしたグループとしなかったグループを比較すると、水泳をしたグループの方が鼻粘膜の炎症や膿性鼻汁が増えたという報告もあります。
塩素に対する感受性には個人差があるため、同じアレルギー性鼻炎の人でも症状が出やすい人とそうでない人がいます。
アレルギー性鼻炎の人がプールに入る場合は、事前に医師に相談することをお勧めします。症状が軽い場合、抗アレルギー性の点鼻薬を使うことで対処できることがあります。
水泳前に点鼻薬を使用し、水泳後はよく鼻をかんで再度点鼻薬を使用しましょう。
鼻づまりが主な症状のアレルギー性鼻炎の人は、プールを避けたほうが良いかもしれません。どうしても泳ぎたい場合は、症状が落ち着いてから鼻栓を利用して泳ぐと良いでしょう。
授乳中の副鼻腔炎市販薬の使用注意点
副鼻腔炎に対処するための市販薬は数多く存在します。授乳中に市販薬を使用することには、注意が必要です。なぜなら、多くの市販薬が母乳に影響を及ぼす可能性があるからです。
しかし、実際のところ、母乳を通じて赤ちゃんに影響を及ぼす量は少ないです。摂取された薬の量はごくわずかで、母乳の0.5%程度です。
赤ちゃんに影響を及ぼす可能性があるのは、薬の20%以上ですので、それほど心配する必要はありません。
もし何らかの影響が見られた場合でも、通常は一過性のもので軽度の症状にとどまります。断乳が必要な影響を及ぼす薬は、通常は多くの影響を与えるものとなります。
また、重篤な副作用を引き起こす可能性のある薬は、授乳中に避けるべきです。
例えば、免疫を抑制する抗がん剤などが該当しますが、日常的な市販薬に関してはそれほど心配する必要はありません。しかし、授乳中には注意が必要です。特に生後1〜2か月の間に注意が必要です。これは、赤ちゃんの肝臓や腎臓の機能がまだ未発達である時期です。
1〜2か月の授乳中期には、肝臓や腎臓の機能がまだ不完全なため、薬物の排泄が不十分になります。その結果、体内に薬物の成分が蓄積される可能性があります。
授乳中に副鼻腔炎になった場合、注意が必要ですが、時には市販薬が必要になることもあります。その場合でも、副作用の少ないものを選ぶよう心がけましょう。
副鼻腔炎の場合、数か月間にわたって市販薬を服用する必要があります。そのため、授乳中の人々が選ぶ傾向が漢方薬です。
漢方薬は効果が現れるまで時間がかかるというイメージがありますが、最近では効果が比較的早い漢方薬も登場しています。
こうした情報を参考にし、授乳中の方々も安心して治療法を選択できると良いですね。授乳中であっても、市販薬についての情報収集をしっかりと行いましょう。
上顎洞炎と耳鳴りの関連性
上顎洞炎とは
上顎洞炎は副鼻腔炎の一種で、鼻の横にある上顎洞という空洞部分に炎症が生じる状態を指します。
一般的には蓄膿症と呼ばれます。上顎洞は鼻腔とつながっているため、風邪による鼻粘膜の炎症が上顎洞に波及し、炎症を引き起こすことがあります。また、虫歯が原因で上顎洞炎になることもあります。特に第一大臼歯の虫歯
が進行すると、その細菌が上顎洞まで到達し、炎症を引き起こします。
上顎洞炎の症状
上顎洞炎にかかると、鼻づまり、頭痛、歯の痛み、目の奥の痛み、鼻から膿が出るなどの症状が現れます。また、一部の人は耳鳴りを経験することもあります。
虫歯が原因の場合、レントゲンなどの検査で確認することがあります。
上顎洞炎の治療方法
上顎洞炎の治療方法には、薬物療法や原因となる歯の治療があります。虫歯が原因の場合は、その治療を行い、必要に応じて抜歯を行います。
抜歯後、抜歯箇所と上顎洞がつながるため、その穴を利用して洗浄を行います。小さな穴は自然に閉じますが、大きな穴の場合は縫合などの処置が必要です。
症状が重篤な場合、外科的手術が必要になることもあります。手術では鼻腔に大きな洗浄用の穴を開け、治療を行いますが、約2週間の入院が必要となることがあります。
治療費について
治療費は原因により異なります。歯が原因の場合、3割負担で約3万円程度の費用がかかると予想されます。副鼻腔炎や蓄膿症が原因の場合、治療費はもう少し安くなるかもしれませんし、保険適用となることもあります。